屋根は重い方が良い?

今の建築の常識では屋根は軽くないといけないらしい。

でも、日本の伝統木造の屋根は重い。

屋根の上に土を載せて、その上に瓦を積む。
2階の床は、土を入れて重くしてある。
そして
私は大工さんから重くなければならないと教わった。

木造は切った木を接合して家を造る。
一番の弱点は継ぎ手であり、それが引っぱりに効力がないことにある。
日本の木造の継ぎ手は押し合うという原理で造られている。
だから、ほとんど全ての継ぎ手は上から納めて、その上から重しをのせる。
その重しが土であったわけ。

今度の仕事は、古い町家の修理。
瓦屋さんと打ち合わせ中
瓦を全部降ろして、という話が出た時、
瓦屋さんが
「危ない」ということを言った。
以前、町家の修理の際、
屋根の瓦を全部降ろした時に
重みがなくなったために浮き上がって
継ぎ手が緩んで、桁が外れて、事故になった。
と言うのである。

伝統の日本の木造は屋根をわざと重くしてある。
床にも土を入れて重くしてある。
伝統木造では
重いのが正解なのである。