たんぽぽ舎【TMM:No2174】からの転載です。
┏┓
┗■1.鼻血は、ベータ線被曝の結果
| ベータ線は、鼻腔の粘膜を小範囲で高密度に被曝させ、粘膜が破られて鼻血となる。
| 広島と長崎の被曝者は鼻血で苦しんだ。
└──── 槌田敦(元理化学研究所研究員)
○美味しんぼの連載記事「福島の真実」(週刊ビッグコミックスピリッツ誌)が大問題になっている。石原環境大臣が「不快だ」といい、安倍首相が「根拠のない風評」としたことで政治問題となった。政府の介入は、発行元小学館を震えあがらせ、詫び状を書かせた。
放射能と鼻血の問題は、原爆症に始まる。広島で被曝治療をしてきた肥田医師は、「福島の真実24」で述べていられるが、広島と長崎の被曝者は鼻血で苦しんだ。しかし、占領軍は、その因果関係の発表を許されなかった。そして、この方針を引き継ぐ日米合作の放射線影響研究所も、原爆と鼻血の因果関係をタブー視し、原因不明とする。
この流れをくんで、放射線防護学の御用学者たちは、1シーベルト以上被曝すると血液中の血小板が減り、鼻血が出やすくなるが、それ以下では鼻血は出ないと主張する。
福島原発事故で多数の鼻血患者が出たのは事実である。しかし、被曝線量が少ないので、御用学者にはこの事実を説明できない。そこで彼らは自ら説明できないことにいらだって、事実そのものを「科学的にありえない」と否定することになる。
○事実を説明しなければ科学者として失格である。ところで、これら失格御用学者のいう被曝とは、ガンマ線被曝であって、その範囲ならば彼らの言う通りかも知れない。しかし、矢ケ崎琉球大学名誉教授も「福島の真実24」で述べていられるが、物理学者ならば放射線にベータ線(電子線)があることに注目する。
セシウム原子などを含む土埃が風で運ばれてこれを吸い込むと、鼻腔に沈着しベータ線を放出する。ベータ線は飛行距離が短く、鼻腔の粘膜を小範囲で高密度に被曝させることになり、粘膜が破られて鼻血となる。
この症状は、日光による紫外線被曝と似ている。まず、皮膚が日焼け状態となり赤くなり、次にただれる。粘膜ならば破れて鼻血になる。この症状には個人差があり、赤くなっても回復することがある。
その場合は、耐性ができて次の被曝があっても赤くはならず、黒ずむだけである。その人は幸福であって、その後は鼻血はない。現在の福島県民の多くはこの状態にあると思われる。しかし、この事実にはふたつの重要な問題がある。
○ひとつは、この耐性のない子供や福島を訪問する県外の者の危険である。外出するときは、セシウムを含む土埃を吸わないように、四季を問わず花粉マスクが必要である。そして子供のいる家庭の居間、学習室、寝室には、空気清浄器が必須であろう。その費用は東電に請求する。ホテル滞在の場合は空気清浄器の有無を確かめるとよい。
もうひとつは、鼻にはいったセシウムは肺に流れ込み、血液で全身に配られ、内部被曝の原因となる。福島の人達は、食事だけ被曝管理しても無駄であることを理解する必要がある。これは風評被害ではない。土壌の高汚染地域という事実の問題である。
最後に、福島と鼻血について、武田中部大学教授のショート論評(5月10日)を全面的に支持する。小学館は美味しんぼ連載最終打ち切りの「福島の真実24」(5月19日発売)で、武田教授に詳細な論評をなぜ求めなかったのか、おおいに疑問である。
コメントをお書きください