木の合掌梁とコンクリートの梁

K邸新築工事  奈良県郡山市
構造      補強コンクリートブロックと
        木の合掌梁の混構造
用途      個人住宅
設計      有現会社 菅家設計室
施工      (株)合掌
我社の工事範囲 施工図作成から全体工事まで
工事代金    約1600万円(外構別)

梁(合掌梁)を

つっかけた
シンプル構造
施工は大変難しい


20年目のメンテナンス

20年前と同じようなショットになると良いなって思って写した写真です。
暮らして如何でしたか?

 

お施主さんからの言葉です。

「シンプルだけど、一つ一つが考え込まれていて、
 魂が入っていて、
 安っぽくなくて、

 20年経ってもドンドン愛着が湧く。

 古くならなくて、

 来た方が本当に此処で住んでるんですか?と聞かれます。

 キチンと建ててもらえて私は嬉しいけど、

 業者さんにとったらどうなんでしょうか?

 今回20年でお風呂は交換になりましたけど、

 後はどこも痛んでないの。

 こんな建て方してたら大変じゃないの?

 (ありがとうございます。)

 私は今70だけど、後10年ここで暮らせたら嬉しい。
 (バリアフリーなので多分大丈夫)

 

 

ここでの生活はそれなりの楽しみがある。夏は緑、冬もそれなりのちょっとした手間。

今まではそれが楽しかった。けど年をとって少しシンドくなりました。

いつまで楽しめるのかな。

でも、その手間を楽しめるのは、建物の基本がキチっと出来ているから出来ることです。

ちゃんと建物を作ってもらって本当に感謝しています。」

 

いえ、私たちこそご縁を頂けたことに感謝です。

 

この建物かなり難しくて人に任せることができず、

 

基礎から上の梁に至るまで全部自分たちで工事した思い出深い物件です。

 

木の加工だけでなく、

 

型枠も、鉄筋の配筋も、コンクリートの打設も全部基本は二人で施工しました。

 

これだけの体力はもう無いと思うので、

 

作ってくれと言われてもこの建物はもう作れません。

 

 

バリアフリーの車イスでも移動が可能なワンフロアの家。住み続けて頂けると私も嬉しい。


この物件は、 木はつっぱらせて使うという木造の基本と


       コンクリートは圧縮に強いという
材料の持つ性質を最大限に利用した構造です。


直接コンクリートの梁に木を当てていて、設計の寸法もシビアなら施工上の寸法も逃げがなくて、
とても難しい建物でした。


設計の段階でお話をもらったのと、施工全体を引き受けられたので実現した建物です。

H13.8.25 日刊木材新聞 本文
合掌(奈良市、原田量治社長)は11日、木造トラスの原理を応用した伝統工法・合掌梁の現場見学会を開催した。7.2メートル角のコンクリート架梁の上に合掌梁を架けたもので、コンクリートブロック壁と合掌梁で木造大空間を実現している。
これは大阪の設計事務所・菅家設計室と協力したもので、水廻りと納戸をコアにしたシンプルなプラン。1階部62平方メートルの室内を広く取るため、間仕切りを設けず、梁が必要ない合掌造りを採用した。
なお、外断熱を行ないコンクリートブロック壁の内部に蓄熱体を設けて次世代省エネ基準並の性能を出している。
「木材利用の拡大を図り、コンクリート造と木の組み合せを提案した。また、木材には地元の吉野産桧と杉を採用」と原田社長。

 

 

 

 

H13.8.14 奈良新聞 

本文
木造建築専門店の合掌(原田量治社長、奈良市三条添川町)はこのほど、大和郡山町新木町で、西洋建築の木造トラス工法と日本の伝統的木造技術を融合した独自の建築方法「三次元工法」を使用した新築住宅の工事見学会を開いた。建物の鉄筋コンクリート化が進んだ近年、こうした工法が住宅に用いられることは珍しく、多くの建築関係者が見学に訪れた。
工事は、コンクリート壁の上に同工法で木造屋根を組み上げるユニークな手法。
同屋根は内部に張り出した柱やはりがなく、屋根の頂点から建物の四隅に伸びる隅木が屋根にかかる力を分散しながら支える。また、比較的小さな木材を組合わせる構造なので、大きな材木を用いる建築法に比べて構造材のずれが生じにくく、量産しやすいのでコスト的にも有利という。